みちびき
★ 海を越えた鉄道(柳ケ瀬線) ★
−ヒストリート(歴史通り)−
文面作成:2020 ⁄ 07 ⁄ 23
(最終更新:2025 ⁄ 04 ⁄ XX)


「ヒストリート(歴史通り)」について

ヒストリートは、“ヒストリー”と“ストリート”を合体した当サイトの造語です。ここでは歴史にこじつけて絡んだ道たちを紹介しています。
あくまでも道の紹介ですので、歴史的な深堀までは行ってませんのでご容赦ください。


旧柳ケ瀬線の場所



レポートリスト

 
■柳ケ瀬線とは

『海を越えた道/日本遺産』のページでも触れましたが、1882年に滋賀県長浜市と福井県敦賀市との間が鉄道で結ばれました。

当時日本最長となる約1.4kmの柳ケ瀬隧道(トンネル)で分水嶺を越えていましたが、傾斜が急であるなど鉄道運行上の制約が多く事故も多発したことから、1957年に同区間が新線に切り替えられました。

新線に切り替わった後も約7年は『柳ケ瀬線』として鉄道運行が続けられましたが、1964年に廃線となり路線の多くは道路へ転用されました。

このページでは、この“旧柳ケ瀬線”区間を取り上げて紹介します。道路転用後も元が鉄道だったことを味わえる、興味が尽きない区間となってます。

■木ノ本通り中之郷駅跡へ

長浜市街より国道8号を、更に木ノ本地区からは国道365号を北上します。並走していた北陸線が余呉駅手前で西へ大きくカーブし、国道に別れを告げます。

この“別れの地”から先の国道が、柳ケ瀬線の廃線跡を転用したものとなってます。



余呉駅東側から
柳ケ瀬線は国道と共に

国道沿いに
中之郷駅跡有り

途中で国道と別れ
敦賀方面へ向かう

1.5kmほど進んだ余呉町中之郷地区にて、道路際に『中之郷』の駅標風な看板が立っています。当時のものと思われるホームも迎えてくれます。

同駅は、“柳ケ瀬越え”を控えての機関車増結を行うほどの一定の規模があったそうです。辺りにそのような雰囲気は感じられず、駅があったことを静かに後世へ伝えてくれているようです。

■柳ケ瀬駅跡は残存せず

中之郷を過ぎた先、廃線跡転じた国道は北陸道とともに、余呉川が刻む谷間を更に北上します。

中之郷駅跡から約5km先に柳ケ瀬駅がありましたが、バス停になり駅の遺構は残ってないとのこと。訪問時に把握しておらず、画像に収められていません。

柳ケ瀬駅があったという場所から更に2km先に交差点があり、更に北上する国道と袂を分かちます。廃線跡を引き継ぐ県道はこの後に柳ケ瀬隧道を経由し、敦賀駅方面へ向かうことになります。


■柳ケ瀬隧道

『柳ケ瀬隧道』は1881年に着工し1884年に開通した、現在使用中のトンネルとしては国内で2番目に古いトンネルだそうです。

柳ケ瀬側(東口)の隧道ポータル(入口)がレンガ積みではないのは残念ですが、刀根側(西口)には当時をしのばせる雰囲気が残っいます。この柳ケ瀬隧道、土木学会の選奨土木遺産に指定されています。



滋賀・福井の県境を
柳ケ瀬隧道で抜ける

隧道東口には
排煙装置の遺構あり

隧道西口到着
全長1352m

隧道上部には、コンクリート製の“蒸気機関車の煙排出口”が設けられています。機関車が隧道入坑した後に坑口へ幕を下ろし、坑内を減圧させることで隧道内の排煙を集め排出する仕組みになっています。

隧道内は距離があるうえ傾斜もきつく、中で機関車が立ち往生することもあったそうです。窒息のリスクから乗務員の生命を守るため、数ある排煙対策が取られたうちのひとつがこの仕組みでした。

なお、この排出口は隧道入口側からは見えず、先程別れを告げた国道側から隧道口を見下ろす形にて確認することになります。


■歴史刻む小刀根隧道

柳ケ瀬隧道を越え福井県側に入ると、敦賀市刀根地区で2箇所の隧道と出会います。ひとつが県道上の『刀根隧道』、そしてもう1つが県道外にある『小刀根隧道』になります。


柳ケ瀬隧道西側に
刀根隧道がある

小刀根隧道は
明治14年完成

刀根隧道は
道路用に改修済み

『刀根隧道』は県道の拡幅に伴い改築されてしまい、残念ながら建設時の面影は残っていません。逆に『小刀根隧道』は県道より外れたことが幸いしたのか、明治14年建設の姿を今に伝えてくれてます。

現役より退いていますが、適切に管理されているようです。土木学会の選奨土木遺産や市の有形文化財に指定されているからでしょうか。全長は60m弱で、懐中電灯等が無くとも特に不安なく隧道内部を歩けます。


■曽々木隧道跡

残念ながら開削され現存しませんが、このルートにあった『曽々木隧道』について触れます。


刀根・疋田間に
曽々木隧道跡が

航空写真にて
隧道想定地を確認

切り通しにて
レンガ積み確認

開削ということで、現地へ行けばそれらしき地形が見当たるはず。

柳ケ瀬からの県道ドライブはエンディングを迎え、麻生口地区で国道8号へ合流します。国道を曽々木地区へ向かうと、途中で思惑通り、気になる“切り通し”が目に留まります。

切り通し周辺を目視確認していると、道路脇の山肌に隧道の遺構らしきものがありました。後日の新旧航空写真比較でも隧道はこの辺りと推測でき、恐らくここに曽々木隧道があったのでしょう。


■疋田駅へ

曽々木トンネルを抜けた後、柳ケ瀬線は『疋田駅』へ至ります。ここで現行線(北陸線)との合流となるのですが、現行線には『新疋田駅』はあっても『疋田駅』は見当たりません。どこにあるのでしょう。

この辺りは、『海を越えた道/疋田駅』のページにてレポートします。そちらをご覧ください。




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